最先端のシックハウス対策
「教室内の空気汚染から発生し病気や、体の不調、行動・精神の異常の総称」と定義される。 問題としては教室内のみに留まらず、樹木への殺虫剤散布、水泳プールの消毒剤、校庭のウ レタン舗装など、学校敷地内の屋内外の環境汚染の影響もシックスクール問題に含まれす。 スクールと言うと小中高等学校を考えてしまいますが、幼稚園や保育園等についても同様の問 題があります。 児童生徒がシックハウスから化学物質過敏症になってしまっても校内の環境改善に努めたり 関係者が化粧、整髪料や衣類及び喫煙などに注意を払い汚染を防止する事で登校できる場 合もありますが、学校側の理解が得られなかったり、本人の症状が重たい場合などは登校が 出来ず、基本的人権の一つである教育を受ける権利が奪われるケースも数多くあります。 化学物質過敏症の患者さんは外見上は健常者と変わらず病人らしく見えない場合もありま す。普通の人には全く感じられない極微量の化学物質に反応してしまう為に、この病名を知ら ない人や教師、生徒の中には「神経質過ぎる!」とか「怠けているんだ!」とか言い出す人もあ り、いわれの無い叱責やいじめに発展してしまうケースが数多くあります。 子供はシックスクールや化学物質過敏症の知識なんて持ち合わせていません、そして通う 学校を自由に選んだりする事も出来ません。大人が守ってあげなければならないのです。 1997年のG8環境大臣会合による「マイアミ宣言」では「我々は世界中の子供が環境 中の有害物の著しい脅威に直面している事を認識している」、「曝露の予防こそが子供 を環境の脅威から守る唯一かつ最も効率的な手段である事を断言する。」と宣言しまし た。有害化学物質の脅威から子供達を守る事は、現在発症して苦しんでいる子供達だけの問 題では無く、全ての子供たちの為に取り組むべき緊急課題であると言うのが共通の認識なの です。 学校教材に含まれる化学物質 大きく4つに分類される。 校舎関連 ワックス清掃が多く次いで学校の新築改築に伴うペイントや接着剤 教材関係 マジックペンが多く次いでボンド、版画用木材 人が身に付けて持ち込むもの。 化粧品、香水、タバコ、整髪料の類。 生物に障害を与えるもの。 「防虫剤、除草剤、等の農薬、芳香剤、消毒液」 について化学製品のMSDS(化学物質等安全データシート)で「有害性の要約」が分かる様に なっているべきなのです が、現状は原料の具体的な化学物質名が記載されていない事が 多く、問い合わせても「企業秘密」として公表されていないので詳しい検討が出来ない事 が多い。 加えて1%未満の含有物については記載の義務が無く、 私達に正確な情報 が届く事は有りません。子供達に安全な学校を提供しようとする設計事務所の先生方、 役所の建築に携わる方々、ゼネコンの監督さんにも正しい情報は提示されないのが現 状です。 ワックス製品について。 水性、油性、樹脂(有機リン可塑剤含)、樹脂(有機リン可塑剤含まず)の4種類がある。現在 主流は水性ワックスになっていますが、水性ワックスに切り替えれば安全になったと思ってしま う関係者が多いのが現状です。と言うのもワックスの業界はまだ塗料の業界ほど有害化学物 質使用についての情報公開が出来ていない為、正しい情報が使用者に届いていない場合が 多いからです。法の規制も建築後に持ち込まれるワックス製品にまで及んでいないのが現状 です。 水性ワックス・・・「レベリング剤関連で若干アンモニア臭がある、通常成分中で水の量が多く有 害性は比較的低 いとされている。しかし防腐剤が含まれている。食品添加物でない防腐剤は 溶剤、界面活性剤などが使用されご く少量(ppm単位=100万分の1単位)で殺菌出来る為人 体に有害で皮膚、気管支に刺激を与える恐れがあります。 界面活性剤の危険 「わたしは石鹸でシャンプーして「シャボン玉リンス(クエン酸)」を愛用しています。過敏症でな い友人たちにも、界面活性剤の毒性を教えると、ほぼ全員石鹸生活に切り替えました。界面 活性剤の台所洗剤をネズミの背中に塗ると、毛が抜けて二度と毛が生えてこないんだよと教え ると、自分の頭髪に配慮する人は、ほぼやめます。」 ワックスについては、使用前作業として使われる剥離剤が小さな隙間に入り込み回収されずに その溶剤が発散する危険性があることと、通常のワックスに含まれる防腐剤、有機リンを含ん だ可塑剤、製品に含まれる溶剤、レベリング剤や樹脂系の未反応物質などの有害性も検討し なければならない。 東京都健康安全研究センターでの大貫文氏らによる樹脂ワックス3製品の分析では主要揮 発成分としてジエチレングリコールモノエチルエーテル(DEGME)が検出、作業前と同じレベ ルに戻るのに73日も要しました。同じ清掃で有機リン系の可塑剤の濃度を分析したところワ ックス清掃当日は濃度が前日に比べて10倍以上に上昇し、清掃前の濃度に戻るのに45日 かかりました。しっかり換気をして少なくとも数日間は子供達を立ち入らせないようにしなけれ ばなりません。メーカーは各種学校向けワックスを開発しています、実験分析した製品は全て 「シックスクール対応」の商品でした。メーカーによって対応は異なりますが、PRTR法の対象で ない化学物質を使用する、ホルムアルデヒドなど「学校環境衛生の指針」に入っている6物質を 使用しないまたは厚生労働省が指針値を定めた13物質を原料にしない、などです。しかし実際 に「シックスクール対応」の製品を分析すると学校環境衛生の基準や厚生省指針値に該当す るキシレン、スチレンが検出された例もあり、日本フロアーポリシュ工業会も不純物として混ざ る可能性を認めています。指定の科学物質以外の物質が日々開発され代用品として使用され る現状で子供たちは過敏症発症の危険に曝されています。 結論としてワックスから子供たちを守る為には、 @出来ればワックスを止めて水ぶきなどの別の方法で床洗浄を行う。 化学物質過敏症の子供たちはもちろん、過敏症でない子供たちにもワックスによる床洗浄をさ せない。 ワックスを掛けた後は充分な換気を行いワックスに含まれる化学物質が揮発するよう時間か けてか ら子供たちを入れる。 ある県のシックスクール対応マニュアルではワックスは天然素材のワックスを勧めています。 但し天然素材の製品にもアレルギーの原因になる物質が含まれている場合があるので成分 の確認はしっかりすべきです。防腐剤の入っていないワックスや成分を全て公開している商品 がより安全な様です。「自然素材=安全」の図式は全てのケースに当てはまるわけではありま せん。 人は人生の8割以上の時間を室内空気を吸って暮らすと言います。また成人では一日の飲 食物は1〜2kgであるのに対して空気は15〜20kg摂取します。飲食物は肝臓で解毒の関門を 通って無毒化されますが、空気汚染物質は肺を通してそのまま血液に入り込みます。空気の 重要性がここにあります。今一部の敏感な人達が過敏の症状を示していますが、先ではもっと 多くの人達が過敏症を示すはずです。 現在の化学物質過敏症は20年前の花粉症だと言われています。 子供たちが安心して成長出来るように気を配ることが今大人に求められているのではないでし ょうか?子供は自ら学校を選ぶ事も変える事も出来ないのですから。 参考文献 文春新書 化学物質過敏症 現代人分社 シックスクールシンドローム 長野県教育委員会事務局保健厚生課 学校環境とシックスクールへの対応について
有害化学物質が成人より子供に大きく影響するのは何故? 1、子供は体が小さいが活動が活発で、体重1kg当たり、成人の3〜4倍の飲食 をし、2倍の空気を呼吸します。身の周りの汚染物質を成人より多量に消化器や 呼吸器から取り入れ、吸収も盛んです。最近のレポートでは有害化学物質が「視 神経の奥」「小脳の上下」などから情動を司る大脳辺縁系に影響を及ぼすことが 報告されています。典型的な化学物質過敏症の症状である集中力や思考力の欠 如により落ち着きが無くなり感情を抑えきれなくなるという事例が報告されています。 一昔前によく言われた「キレル!」子供の内4割は化学物質の影響だとする説もあり ます。 2、子供は地面や床に近い位置で生活しています。そこには多くの汚染物質 が高濃度で滞留しており、子供は土や埃に付いた汚染物質に曝されます。 低い位置の空気も、往々にして高濃度に汚染されて滞留しています。これは 全てではありませんが、有害化学物質の分子構造が大きい為に重く床付近 に溜まってしまう為です。 3、 幼児は、よく口の中に物を入れて、長時間しゃぶっています。 家の中でスプレーされた殺虫剤は直接叉は、床やカーペットから蒸発し、プラ スチック製品や枕、クッション、おもちゃなどに再度付着します。 汚染された物を幼児は口に含み、唾液と共に体内に摂取してしまいます。 4、乳児では、成人のように汚染物質を排出したり、汚染物質を分けて脂肪に 蓄えることができません。更に、乳児の免疫系は充分に機能していません。 有害物質をブロックする血液脳関門は生後6ヶ月まで未発達です。 5、 妊娠中には、母体に蓄積された体脂肪が胎児の栄養分となりますが、 ダイオキシンやPCBのような多くの汚染物質は親油性のため、脂肪組織に 蓄積しています。高齢出産であるほど多く、先に生まれた子ほど多く受け継ぎ ます。 一刻を争うシックスクール問題 シック・スクール症候群は、黙殺という共謀行為があって初めて存在しうるので はないでしょうか?。 沈黙を破り声をあげることが大切です、諦めないねばり強さが必要です。そして 教育が大切です。知らないところからは誤解しか生まれません。 日本では幼稚園や小学校で既に有害化学物質に冒され、苦しんでいる子供達が続 出しています。より安全な学校と、より配慮された教室に向けて行動を起こすべきで はないでしょうか?既に取り組みを始め成果をあげている自治体もあるのです。教育 を奪われた生徒が学校に戻る事が出来る様にあらゆる取り組みがなされています。 私達にもできる事が必ずあるはずです。 ワックスについて 日本の学校は、生徒や先生にワックスがけをさせている場合が多いようです。MSDS を確認すると、塗る時には「有機溶剤用防毒マスク使用」と明記されているのに、防毒マ スクも防護メガネもつけないで掛けています。「環境対応」「シックスクール対応」などの 表記を過信してしまっているのです。学校ばかりでなく幼稚園や保育園でも定期的に ワックスを掛けています、幼児は分子構造の大きな有害化学物質がたまる床近くで一 日の大半を過ごします。自分の苦しさを上手く伝える事も難しい子供達の事を大人が心 配して配慮するのは当然の事ではないでしょうか?喘息やアレルギーそして多動性とい う問題も有害化学物質に起因していると言う報告がなされています。長期に渡り有害化 学物質の吸入によって子供達の健康と未来を損ねる危険に曝させています。一度じっく り考えてみませんか?
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